抹消・滅失・閉鎖の違い

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抹消・滅失・閉鎖の違い

登記において、似て非なる用語が、「抹消(まっしょう)」と「滅失(めっしつ)」と「閉鎖(へいさ)」です。

この3つの言葉はすべて、消えて無くなるようなイメージがありますが、登記の分野ではそれぞれ意味が異なっています。

不動産登記における違い

「抹消」

住宅ローンを完済した後に行う「抵当権抹消登記」が代表例です。

登記記録の一部として記録されている権利がなくなったときに、その部分について抹消登記を申請します。

抹消といっても、該当部分に下線が引かれて権利が消えたことがわかるようになるだけで、最初から無かったかのように記録そのものが消え去るわけではありません。

「滅失」

不動産が物理的に無くなったことを意味し、主に建物を取り壊したときに建物滅失登記を申請します。

土地の滅失登記は、その土地の全部が海や河川に水没して権利の対象にならなくなった場合などに使われるそうですが、私はまだ出会ったことがありません。

「閉鎖」

その不動産の登記記録(登記簿)を閉じることです。

申請者が閉鎖登記を申請するのではなく、閉鎖する事由に該当する申請があったときに、その不動産の登記記録を登記官が閉鎖します。

たとえば、前述のように建物の滅失登記申請があったとき、複数の土地を1つにまとめる(合筆)登記申請があったときなど、もうこれ以降この不動産の登記記録が更新されないことが決まったときです。

また、昔の縦書きで紙の登記簿から現在の横書きでデジタルな登記記録になる「コンピュータ化」によって、それ以前の登記簿は閉鎖されています。

商業・法人登記における違い

「抹消」

不動産登記ほど頻繁ではありませんが、商業・法人登記にも抹消登記はあります。

ただ、役員が辞めたときなど「抹消」になりそうな登記もだいたい「変更」登記です。

「抹消」登記になるのは、本当は登記しちゃいけない内容が登記されてしまったときです。

たとえば、登記された事項について無効の原因があったときです。

株主総会での決議が必要な内容の登記で、その株主総会に不備があって決議が無効だった、とかですね。

「滅失」

会社や法人はもともと物理的には存在しないので、滅失登記はありません。

「閉鎖」

会社や法人が他の会社等に合併されてなくなったときや、解散して清算まで終わったことが申請されたときなどに、その会社等の登記記録は閉鎖されます。

会社等が解散しても、清算が終わったこと(清算結了)申請がされるまで、基本的には閉鎖されません。

また、商業・法人登記は会社等の本店所在地によって管轄の法務局が決まっているので、ほかの法務局が管轄する場所に本店を移転するときは、新しい本店所在地の管轄法務局で新たな登記記録が作成され、従前の管轄法務局の登記記録は閉鎖されます。

商業・法人登記でも、コンピュータ化前の紙の登記簿は閉鎖されています。

正しい登記申請を

コンピュータ化の後に閉鎖された登記記録は、登記情報提供サービスを使ってインターネットで閲覧できたり、全国の法務局で証明書を取得することができます。

しかし、コンピュータ化前に閉鎖された登記簿は、管轄の法務局でしか閲覧したり謄本を取得したりすることができません。

頻繁に必要になるわけではないですが、過去の記録を遡らないといけないことは割とあって、この閉鎖登記簿謄本は重宝します。

登記の分野では、用語が厳格に決まっているので、申請書の作成にはとても気を遣います。

でも、そのおかげで、登記された内容を誰でも同じように理解できる仕組みになっています。

もちろん登記された内容が必ずしも正しいとは限らないのですが、あらゆる場面で登記はとても重要視されます。

正しい登記申請、大切です!

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