司法書士は自分の事務所で仕事をしているだけではなく、いろんな相談会に相談員として出向いています。
(写真は法務局での休日相談会のもの)

いろいろと相談会に参加していると、何度か似たような回答をしていることも出てきたので、一般的にあまり知られていないなぁと私が感じていることを何点かご紹介したいと思います。

1) 生前に「相続」はできない。

「相続」は死亡によって発生するものなので、生きているうちに財産をあげるのは「贈与」です。あげる相手が子どもなど将来の相続人である場合でも「贈与」です。高額の財産を「贈与」する場合、多額の贈与税が課せられるケースもあるので、事前に税理士や税務署に相談して慎重に行うべきです。特定の相続人に相続させたい財産がある場合は、遺言書(特に公正証書遺言)を書いておくのがオススメです。

2) 離婚しても、親子関係はなくならない。

子どものいる夫婦が離婚した場合、親権者がどちらかということに関係なく、母と子、父と子という親子関係は継続します。

3) 普通養子縁組をしても、もともとの親子関係はなくならない。

厳しい要件がある特別養子縁組は、もともとの親子関係を解消して養親だけが親になります。しかし、世間で多く行われている普通養子縁組では、もともとの親子関係はなくなりません。
例えば、AさんとBさんの夫婦の子Xさんが、Cさんを養親とする普通養子縁組をした場合、Xさんの親はAさんとBさんとCさんの3人、ということです。

4) 法務局には無料の相談窓口がある。

事前予約制ですが、各法務局には登記申請手続きについて無料で相談できる窓口があります。司法書士や土地家屋調査士に依頼せずに登記申請をしたいときに相談できます。平日の昼間に動ける人にとっては便利な窓口だと思います。
もちろん、司法書士の私としては、ぜひ司法書士にご依頼いただきたいところですが…

5) 登記申請は法務局に行かなくてもできる。

上記4)のように専門家に頼らず登記申請をする場合は、事前の準備のために管轄法務局の相談窓口に行くことが多いですが、登記申請自体は郵送やオンラインでもできます。なので、司法書士に不動産登記を依頼する際は、不動産の所在地に関わらず、自宅や職場から近い司法書士に依頼していただいて構いません。

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相談会ではどんな相談を受けるか事前にわからないので、毎回ドキドキしながら参加しています。

でも、相談が終わったあと、相談に来られた方が少しスッキリした顔をされているのを見ると、短い時間だけど少しは役に立てたかな、と嬉しくなります。